温故知新-今も世界中で愛されるアナログレコード

 1982年のコンパクトディスク(CD)登場まで、家庭などで音楽を楽しむためのメディアの主役として親しまれていたのは、塩化ビニール製のアナログレコードでした。
 アナログレコードはディスクに刻んだ溝を針が物理的にトレースし、その形状を信号化することによって音を奏でる構造のため、キズやホコリに弱く耐久性に乏しいという弱点がありました。
それゆえ、愛されつつもメディアの主役という役割は、デジタル技術によって再生時のネガを克服し利便性にも優れたCDへと移行しましたが、いまだ世界中に「この豊かな音質はアナログレコードでなければ味わえない」とする根強い音楽ファンも多く、音楽文化の中で確固たる地位を築いています。
 「古きを愛する」音楽ファンから愛される一方でアナログレコードは、クラブカルチャーにおいてもDJプレイのメインツールとして日々新たな流行を発信しながら輝きを生み出し続けており、CD誕生以降に生まれた世代にもスタイリッシュな存在として認知されています。

 

「アナログ文化を支える基盤=マスター盤」 生産できるのは日本で1社のみ

 アナログレコードは、スタンパーとよばれる金型による熱プレスで生産します。

  その金型に溝を転写する用途で、音を最初に溝として記録するディスク-それが通称「マスター」と呼ばれる「アナログレコード・マスター盤」です。

 このマスター盤が無ければ、今世界中で愛されているアナログレコードは生まれ得ないことになりますが、肝心の盤を生産しているのは世界でわずか2社、国内ではたった1社だけなのです。

 そして、その1社こそが私どもパブリックレコード。文化を支える事業を営むという誇りを胸に、現在はヨーロッパを中心に出荷しています。

 

高い評価を受ける職人芸

 マスター盤は、円形のアルミ板の上に特殊なラッカーを塗布して作ります。これだけの説明では単純な作業のように思われるかも知れませんが、すべてのアナログレコードの元になる重要な盤ですから、実際には高いクオリティーを厳しく求められます。
キズやホコリ、歪みは言うまでも無くNGなうえ、1ミリ厚のアルミ板は同心円上において公差10~20ミクロン以内のフラット状態でなければならず、そこに塗布するラッカーは厚さ180~200ミクロンで管理されています。
 アルミ板の歪みを取って徹底的に磨き上げる工程に始まり、上記の厳しい条件をクリアした製品の出荷に至るまでの全行程において、鍵を握るのは「人」です。すべての最終クオリティーチェックは熟練された職人の目によって判断されています。
 こうした「より高品質を…」という思いのもと、経験の蓄積によって確立した職人芸は、特に海外で高い評価を得ています。ラッカーの配合率一つとっても、試行錯誤を繰り返しながら最良と思われる現在の質にたどり着きましたが、その結果中低音の響きが良いという評価を受け、ヨーロッパでは音に厳しいクラシック作品を中心に高いシェアを誇っています。

 

  mastercutting